顎関節症は女性に多く、顎を動かすと顎関節に痛みが生じたり、顎関節周辺の筋肉や靭帯に圧迫痛が生じたりするなど、顎の動きに異常をきたす症状です。
ひどい場合には、歯ぎしりや咀嚼障害、首や肩のこり、腕のしびれ、頭痛、バランスの崩れなどを引き起こします。
これは、かみ合わせのバランスが崩れると、それを修正するために背骨が変形し始めるからです。
顎関節症は、何らかの原因で噛み合わせが悪くなると起こります。
当院では、K7というコンピュータを使って、神経筋の概念に基づいて分析し、正しい関節の位置を測定し、そのデータに基づいて顎関節の治療を行っています。
噛み合わせは、上下の歯を接触させることです。
つまり、下顎の歯が上顎の歯の固定された位置とかみ合う位置が「かみ合わせの位置」です。
また、このかみ合わせの位置は、下あごを囲む筋肉(咀嚼筋)の最もリラックスした自然な位置に対応することが期待されています。
しかし、歯並びや虫歯などでよく噛めない部分があると、徐々にバランスを崩し、さらに虫歯になったり、顎関節がずれたりして、顎関節症になってしまうのです。
噛み合わせと骨はもともと密接な関係にあります。
これは、片側だけで噛むことで生じる筋肉のアンバランスが、噛み癖と呼ばれる骨の変化につながっていることからもわかります。
当然のことながら、顔の骨が分割され、その周りを表情筋が取り囲んでいるため、その変化は最も顕著に現れます。
噛み癖が原因であれば、意識的に反対側を噛んでいれば大きな問題にはなりません。
問題は、噛めない理由(虫歯など)がある場合、時間がかかればかかるほど、回復するのが難しくなることです。
肩こり、首こり、頭痛、耳鳴り、めまい、腰痛、膝や背中の痛み、手足のしびれ、睡眠障害、さらには自律神経失調症などの症状を引き起こします。
当院では、顎関節症における噛み合わせの詳細な検査をK7を用いて行い、得られたデータは科学的根拠に基づいて治療に活用します。
その結果、噛み合わせを客観的に調整することができ、患者さんとの意見の食い違いも少なくなります。
長年顎関節症で苦しんできた人の多くは、自分なりの良い立場や対処法を持っており、それが当院との意見の相違を生み、信頼関係を損なって、結果的に治療効果が低くなることがよくあります。
だからこそ、医師も患者様も客観的に状態を分析できる検査データが重要なのです。
顎関節症でお悩みの方、治療を希望される方は、治療前にこの検査を受けていただきます。
顎を動かしているのは実は脳です。
実際には、脳の指令に応じて筋肉が収縮・伸張して顎を動かしています。
しかし歯学部では、顎は顎関節が基本であると教えています。
そのため、顎関節症の治療に対応できる別の治療コンセプトが必要です。
そこで、正常な筋肉を使った生理的咬合の理論が注目され、K7というコンピュータを使って、顎運動検査や筋電図検査を行い、得られた結果に基づいて治療を行うことになりました。
K7では、筋電図をとることで、噛み合わせ時の筋肉の緊張状態や筋肉の機能を調べることができます。
そして、顎の動きを調べることで、口を開け閉めしたときに顎関節がどれだけスムーズに機能しているか、かみ合わせの悪さによる顎のズレなどを確認することができます。
ここでは、K7で可能な4つの検査をそれぞれ見てみましょう。
筋電図とは、顎の筋肉が動くときに発生する電位を波形で表したものです。
健康診断の心電図と同じようなものだとご理解ください。
顎の筋肉の筋電図を撮影することで、波形、持続時間、振幅などのデータが得られ、筋肉の緊張状態を把握することができます。
例えば、上下のかみ合わせが悪い場合には特徴的な緊張感があり、顎関節症の診断に有効な材料となります。
筋電図では、筋肉の緊張状態だけでなく、筋肉の機能も読み取ることができます。
顎の筋肉がうまく働かないと、顎関節に大きな負担がかかり、顎関節症になることがあります。
K7では、口を開けたり閉じたりしたときに、顎関節がどれだけスムーズに動くかを確認できます。
開閉時の顎の動きがスムーズでない場合、顎関節の軟骨がすり減ったり、関節からずれたりしている可能性があります。
顎関節症による関節軟骨の変位や変形を調べることができます。
顎関節症がひどくなると、軟骨が関節からはみ出したり、軟骨自体が変形したりすることがあるので、注意が必要です。
上下の歯が正しく噛み合っていないと、顎の位置がずれてしまいます。
K7では、このような不正な噛み合わせによる顎のズレを確認することができます。
K7はこの4つのポイントから顎関節症を検査することができます。
顎関節症の原因がわかれば、最適な治療法を提案することができます。
少し難しい説明になってしまいましたが、噛み合わせのズレや顎関節症についてご不明な点がございましたら、お気軽にご相談ください。