歯肉に含まれるメラニン形成細胞が産生するメラニンが、歯肉細胞層の基底細胞の最下部に沈着することで生じる色素沈着を、「歯肉メラニン色素沈着」といいます。
歯肉のメラニン色素沈着は、前歯の周りの歯肉、すなわち歯肉に起こりやすく、淡褐色から暗褐色に変色します。
前歯の歯茎の汚れは審美的に重要なので、歯茎の色を改善する目的でガムピーリングという治療を行います。
ガムピーリングにはいくつかの治療法がありますが、当院ではフェノールという薬を使う治療法を採用しています。
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歯茎にメラニン色素が沈着した歯茎の剥がれを改善することで、以下のようなメリットがあります。
フェノールによる投薬以外にも、黒ずみを除去する方法はありますが、レーザー治療は1回では難しく、何度か繰り返す必要があります。一方、フェノールを使ったガムピーリングの利点は、即効性が高いため、ほとんどの場合、一度で変色を改善できることです。
フェノールを用いたガムピーリング治療では、治療中の痛みはほとんどありません。
表面麻酔だけで十分な痛みのコントロールが可能です。
治療後数日間はしみることがあります。
ガムピーリングは、古い上皮が新しい上皮に置き換わるという生理現象を利用して、歯肉の変色を改善する方法です。フェノールはターンオーバーを促進し、歯肉の変色を改善する働きがあるため、回復が早く、1週間程度で美しい色合いを取り戻すことができます。
フェノールでのガムピーリング治療には約70年の歴史があります。
その結果、手順が確立され、問題点もほぼ指摘されて改善されているので、安全性の高い方法と言っていいでしょう。
ガムピーリングで歯ぐきのメラニン沈着を改善する場合、以下のようなデメリットが考えられます。
ガムピーリングを受けた後の数日間は、患部が少しヒリヒリした感覚や違和感を感じることがあります。 ほとんどの場合、自然に治癒します。
ガムピーリングに使用するフェノールやアルコールなどの薬にアレルギー反応を起こしたことがある人は、ガムピーリングを受けないようにしてください。
フェノールは綿球を使って塗布しますが、フェノールは液体なので、症状によっては塗布範囲をコントロールすることが難しい場合があります。
患部の歯肉が薄い場合は、歯肉退縮につながる可能性があります。
装着された金属補綴物からの金属イオンの溶出による歯肉の変色、メタルコアを研磨した際に微細な金属片が歯肉に入り込むなど、金属補綴物による歯肉の変色は、薬品で歯肉を剥離することで改善することができません。
ガムピーリングでは、フェノールを使って歯肉の黒ずみを治療します。
治療の前には、お悩みの内容や、生活習慣が症状に関係しているかどうかなどをお聞きし、治療内容をご説明します。
色素沈着を症状とする疾患は歯茎のメラニン色素沈着だけではありませんので、歯茎のメラニン色素沈着なのか、ガムピーリングが必要なのかを検査・診断します。
患部を過酸化水素やイソヨードで消毒し、表面麻酔を行います。
次に、患部以外の歯ぐきに薬が触れないように、コットンロールなどを使用します。
90%フェノールをコットンで歯肉に塗布し、20~30秒放置します。
この時、フェノールを塗った部分の歯肉は白くなります。
99%アルコールのコットンで20~30秒中和します。
中和後、水で十分に洗い流します。この手順を2~3回繰り返します。
約1週間後に経過観察のためにご来院いただきます。
多くの場合、歯ぐきは審美的に健康なピンク色になります。